筑波山大御堂の本尊十一面千手観音は修理のために翠雲堂松戸工場に安置されているが、昨年(2018年)、本尊と新調される天蓋や内陣仏具バランスを見るための内見が行われたことは、翠雲堂の強みの象徴である。
松戸工場には工場棟だけで十棟に上りますが、本尊が安置されたのは鋳造仏像の原型製作にも使われる場所で、天井高で8㍍、クレーン下からでも6㍍の高さがあります。
ここで須弥壇木地上に実際に本尊十一面千手観音を安置し、天井からは幢幡と天蓋のひな型を吊るし、護摩壇木地を配置し、本尊の脇には台燈籠の紙型を置いて、本尊と荘厳仏具のバランスを確認することが行われ、大御堂の関係諸師には十分に納得して頂き、完成が待ち遠しいものとなりました。
設計図段階でも実際の人の大きさと本尊とのバランスが確認されてはいましたが、目視での確認が行われることで、さらに信頼度が高まることになります。こうした設計プランは建築と仏具設計を一貫して行う翠雲堂ならではのものです。
(2019年2月)